ちらしずしを作ると思い出します。
子どもの頃、母がちらしずしを作ると、私達にうちわを持たせ
「早くあおいで―」って。
全然面白くなくて、めんどくさかったんですが、
今、ちらしずしを作りながら思い出すのは、
やっぱりその時の幸福感です。
皆さんにとって幸せだなあって感じるのってどんな時ですか?
最近リニューアルしたスーパーやドラッグストアに行くと、心がざわざわするのです。
綺麗に切られ、下味がつけられた食材、
カットされて冷凍された野菜たち、
あとはチンするだけの食材、
ありとあらゆる冷凍食品、加工品・・・。
これ以上、こんなに何もかも手放してしまってもいいのだろうか・・・と。
「料理ってなぜするのですか?」と学生に問われたら
何と答えますか?と以前、講師の先生に問われました。
コンビニに行けば簡単に食べものは買えます。
栄養だけを言えば、サプリでもいいわけです。
なぜ、料理をするのか・・・。
私は未だに答えが見つかりません。
先日、NHKのすくすく子育てでも有名な柴田愛子さんが
ZOOM講座で
「今の暮らしや日常が便利になりすぎて、訳がわかんないことが多くなっているんだけど、
快適だし、まあいっかとなっている。
文明的な暮らしを求めてしまう自分がいる。便利よね、いいわよねって。
でも、地球が遠くなったなあと感じるの。
子育てまでがAI化して行っている気がする。
大事な事だけを注入して、本来「育つ」ということより、
育てたい方向に進んでいて・・・
赤ちゃんの泣き声を判別するAIが出来て、
訳のわかんないことをわかろうとする気持ちが失せて行っている気がする。」と
言われていました。
世の中、ほんとに便利で豊かで清潔な生活となりました。
でも、貧しくて今日生きることに必死だった時代よりも
「不安」が大きくなっていっているような気がするのです。
それは、「暮らすこと」のほとんどを他人の手にゆだねてしまっているからでは
ないかなあと思うのです。
子どもたちがスマホやゲームを手にして静かに画面に見入っている姿をよく見かけます。
本来その時間、お母さんや兄弟と他愛もない話をしたり、
ぼーっと空を見つめたり、
新しい何かを見つけたり、
風の冷たさや、太陽の暑さを感じたり、
嫌だよーって泣いて、周りがどんな反応をしてくれるのか
コミュニケーションの練習をしたり、
いっぱい頭と五感を働かせている時間だったはずです。
スマホやゲームで、子どもたちはあっという間に静かにしてくれるけど、
目には見えないけど、毎日毎時間毎分、何かを手放して失っているのではないでしょうか。
私達ももう、電子レンジもスマホも車もない生活なんて考えられません。
それがなかった時代に持っていた技術や工夫や考える力と引き換えに、
私達は便利を手に入れました。
それでも毎日、仕事は忙しいし、子育てはこんなに大変だし、
もっともっと便利で簡単に何もかもが済んでしまうようになってほしいと思うでしょうが、
でも、そうやって得た隙間時間で親と子の時間は豊かになっていってるのでしょうか?
以前は一緒に、洗濯物をたたんでいた時間、
一緒に餃子を包んでいた時間、
一緒に食後の洗い物をしていた時間、
それは全て機械がしてくれて、お金を出せばすぐに解決出来るようになった今、
その時間がただゲームやスマホと向き合う時間になっているとしたら、
それを豊かとか幸せとかいうのでしょうか・・・。
もちろん技術の発展は、人々を厳しい肉体労働からの解放や
お年寄りや子供たち、体の不自由な方たちが出来なかったことを
簡単に出来るようにしてきました。
ほんとに素晴らしいし、ありがたいと思います。
でも、え?そこまで手放すの?とちょっと不安になるのです。
この間、初めてお話を伺った阿東のトイトイの高田さんも
「技術革新をしたら人は幸せになると思っていたけれど、
人の暮らしは、技術だけでは幸せにはならない」と言われていました。
子どもが生まれて数年間という一生で一番手がかかる、
一番、訳が分かんない時。
その訳の分かんなさを他人や技術に譲ってやり過ごすのではなく、
仲間と一緒に、なんでこーなんだろ、こうしたらどうだろと頭を悩ませながら、
あーでもない、こーでもない、とかっこ悪いくらいに、じたばた、どたばたしながら、
子どもを真ん中に多くの大人たちと一緒に、子どもの「育つ」を楽しみませんか?
私達は、そんな豊かさを一緒に作っていきたいと思っているのです。
Comments